自分がこの病院に勤めだして、12年。干支も一回りとりあえずしたわけです。200床の病院はそのほとんどが認知症患者という内容で、看護学校出てからは、なんか、認知症以外の患者さんに接する機会ってないなってつくづく思います。
ていうか認知症の症状の多様性を年とともに実感するようになりました。
認知症老人の方も好きで認知症になる人はたぶん誰一人いないと思いますが、なってしまったら、好むと好まざるとにかかわらず病院でこういう形で余生を過ごさなきゃならないのかなと思うと複雑ですね。自分も家族の痴呆で悩んだ経験があるからなおさらです。それがどうなのか・・・。
最近は認知症病棟でも自分の生活用品や、私物を置けるようになっているようですが、自分が最初、病棟に入って思ったことは「何もない!」ということ。でも、すぐに理由がわかりました。異物を食べてしまう。飲み込んでしまう。集めてしまう。トイレに流してしまう・・・とにかく危ないことだらけ。身近に物がなければよけい、物への固執も激しくなり、他の患者さんのタオルや枕、果てはチリ紙までも収集しようとします。まあ、物があるのとないのと、どっちがいいのかはっきりとはいいきれませんが・・・ま、あまり殺風景でも。
あと勤めだして一番困ったのは患者さんの名前を覚えること。もちろん名札なんかありません。ベッドに名前を貼っていても、患者さんは徘徊してそこにはいません。また、昼間は座っていられる人はなるべく、ディルームという広間ですごすようになってます。みんなこれが同じ顔に見えるんですね。覚えるコツは、顔が少しでもタレントなんか似てたら、それを頭に入れる。後は言葉、ふだん喋ってる特徴的な独り言、大声とか・・・。うちは患者さんの服も病院で揃えているんで、区別がつかなかったりします。配膳や与薬なんて大変ですよね。患者さんは入院生活で食事ぐらいしか楽しみがなくて、やっぱり早くお膳を渡さなきゃって焦ってもあたふたするんです。
日勤のスタッフは患者さん50人に対し大体10〜13人くらいで、日祭日は7人に減ります。こうなったらはっきり言って戦争ですね。食事介助も一人で3〜4人なんて当たり前。窒息事故だけは起こさないように・・・。
患者さんにも1日の流れがあるように、スタッフも、流れを把握しておかないとここではやっていけません。オムツ交換をしながら次は何をしたらいいのか考えて1日が終わります。オムツ交換も大変です。中には嫌がる患者さん、足が拘縮(間接が曲がったまま固まる)してる人、どちらも力が要ります。でも事故だけは起こさないよう細心の注意をはらいながら・・・
車椅子に起こすのも体重が40キロをこえる患者さんは結構腰にきます。何処の施設や病院でもそうなんですけどね。女性の看護師さんてある意味力持ちですよね。男の自分から見ても感心(感動?)します。でもやっぱり腰のコルセットは結構必需品みたいですよ。
でも、働く者にとって病院って閉鎖社会ですよね。うちなんか特に閉鎖病棟で病棟に鍵かかっているから、世間と隔絶されてるようなもんで。病院は今でもやはり女性社会です。男性職員は増えたとはいえ5人に1人くらいなもので、圧倒的に少ないです。
噂話は院内、院外を問いません。壁に耳あり・・・。あと、派閥。これはどこでもあるんでしょうが。まあ割りと男性は中立的な立場なんですが。もめる病棟はとにかくもめます。ここだけの話なんてまずないですから。話に尾ひれがついて、話にうなづいただけで自分の言った事になったりして。
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